福山市、福山駅前シネマモード6/30閉館——昭和22年から79年、美術館カフェへ上映移行

JR福山駅前の映画館「福山駅前シネマモード」(福山市伏見町)が、2026年6月30日をもって閉館します。運営の株式会社フューレック(旧・藤本興業)は、設備の老朽化を理由に現ビルでの営業を終える一方、2026年4月からふくやま美術館(西町)のMUSEUM CAFÉ ルミエールで映画上映を継続しています。中国新聞デジタルが、閉館と機能移転を報じています。
起源は1947年(昭和22年)の福山産業復興博覧会に合わせた仮設「日米館」——79年にわたり「日米劇場」「ピカデリー劇場」を経て、2013年に現名称、2014年の大黒座閉館後は駅前唯一の常設映画館でした。5〜6月はさよなら興行を上映中です。
79年と「駅前唯一」——表層の閉館と本質の装置
表層は「老舗映画館の幕引き」、本質は福山駅前という歩行者動線の上に、大スクリーンと音響という「没入装置」が79年置かれていた——その箱が6/30で消える、という都市文化の転換点です。広島経済新聞は、動画配信の普及による来館者減も背景に挙げています。
公式年表(i2971)の要点は次のとおりです。
| 年 | 名称・出来事 |
|---|---|
| **1947** | 産業復興博覧会東側の仮設**日米館** |
| **1967** | 福山初の高層**藤本ビルディング**、**70mmピカデリー劇場**・**日米劇場** |
| **2007** | リニューアル |
| **2013** | **福山駅前シネマモード**に改称 |
| **2014** | 大黒座閉館後、**駅前唯一**の映画館に |
| **2015** | アート系作品中心の**文化発信**へ再編 |
| **2026/4〜** | ふくやま美術館**ルミエール**でカフェ+上映 |
| **2026/6/30** | **フジモトビル**での営業終了 |
僕は最初、「郊外シネコンがあれば駅前館は役目を終えた」と読みがちですが、フューレック自身が「発展的終了」——灯は消すが映画文化の担い手は続ける——とi2971で述べている。編集としては、中心市街地から常設映画館がゼロになる(備後とことこ等の整理)一方、同一運営者が美術館内に上映を移す——「消滅」と「移転」がセット、と見るのが2026年6月時点の全体像です。
支配人・代表の言葉
支配人藤井信さんは、さよなら興行ページで「席を立てないくらいのエンドロールを、さよなら興行として」と来館者に語りかけています。代表藤本慎介氏(i2971)は、79年を「心の灯台」に例え、ルミエールへの移行を明示——個人の記憶を呼び起こす閉館演出と、法人としての継続宣言が、同時に出ている点が印象的です。
知りませんでしたが、さよなら興行には岩浪美和さん(音響監督)や福山潤さん(声優)ら、映画・アニメ関係者のメッセージが多数——劇場の音(げきおん)やフクヤマニメとの接続が、地域外の創作者コミュニティまで及んでいる——と公式ページが示しています。

さよなら興行——6/26〜30最終週の読み方
上映スケジュールは週替わりで、6月26日〜30日が最終週です。公式掲載の主な作品は、『福山市に帰ってみた』(新作)、『連合艦隊司令長官 山本五十六』(35mm)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』・『E.T.』(字幕・激音)、『この世界の片隅に』、『PERFECT DAYS』、『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』など。表層は懐かしの名作リクエスト、本質は「この場所で最後に見たい一本」の集合——5〜6月のさよなら興行全体では、『ALWAYS 三丁目の夕日』(35mm)、『ゴジラvsキングギドラ』(35mm)、『アラビアのロレンス』、『日本のいちばん長い日』、金児憲史さん(福山出身俳優)の舞台挨拶(広島経済新聞)など、地元性+フィルム上映+ゲストが混在しています。
とにかく、(激音)は通常上映より大音量・高出力の特別企画——公式注記——で、シネマモード後期の音響設備(TAD製サブウーファー等、岩浪氏メッセージ)を活かす看板でもあります。僕自身は、最終週に35mmと激音が並ぶ——物理フィルムと音量演出を、閉館直前に並置する——のが、79年劇場らしい締め方だと感じます。
ルミエール移転——1〜3年の時間軸
閉館後の上映先は、ふくやま美術館内MUSEUM CAFÉ ルミエール(2026年4月運営開始)。中国新報は「静と動、違った角度から芸術を楽しめる」場——美術鑑賞と映画の同居——と報じ、広島経済新聞も映画文化の発信継続を伝えています。
1〜3年の時間軸では、駅前フジモトビル(旧藤本ビル)の再テナント、ルミエールの定着(席数・音響・上映本数)、福山エーガル8シネマズ(同社運営・郊外)との役割分担——が観測点です(推測を含む)。表層は「映画館が減った」、本質はシネコンの全国均質性 vs 駅前79年の個性——監督・横山雄二氏が公式メッセージで「日本一の映画館」と称した湾曲スクリーンと二階席——の装置が消え、美術館カフェ型の小規模上映にスケールダウンする、という構造変化と読めます。
さすがに、6/30以降、伏見町のビルから上映ブザーが鳴らなくなる——藤井支配人の比喩——こと自体は、福山市民の思い出装置の一つが物理的に止まる、という意味で大きい。一方で、さよなら興行の特典映像をルミエール上映として——藤井氏文案——と公式が書くので、ナラティブ上の連続は運営側が意図している、と見てよいでしょう。

市民が6月にできること——次の観測点
①さよなら興行ページで最終週の時間表確認 → ②6/30までに来館 → ③ルミエール(ふくやま美術館)の上映案内を追う。伏見町のフジモトビル——1967年の藤本ビルディング系——に置かれた劇場としての歴史は、ビル存続と別問題——建物自体の今後は本稿の一次ソース外です。現場では、配信で「見れば足りる」と感じる一方、大黒座を題材にした『シネマの天使』(時川英之監督・公式メッセージ)のように、閉館ニュースは「箱」の価値を再評価させる——福山では6月がその期間——と僕は読んでいます。次に観測できるのは、6/30最終上映の入場状況、ルミエールの定期上映本数、駅前再開発と歩行者動線——2026年後半の三点です。
意外と、1947年=産業復興博覧会起点——戦後復興期の「希望の灯」——という公式語りと、2026年の閉館が同じ伏見町・駅前に重なる——79年の叙事が、閉館PRそのものになっている——点は、単なる老朽化ニュースより厚いレイヤーです。

