福山・勉強堂「瀬戸内海苔のチーズパイ」が第4回せとうちおみやげグランプリで総合優勝

経済・ビジネス

2026年5月14日、香川県高松市のJRホテルクレメント高松で開かれた「地域を届ける。第4回せとうちおみやげグランプリ」の本審査で、広島県福山市の老舗菓子店・有限会社勉強堂(御菓子所 勉強堂)の「瀬戸内海苔のチーズパイ」がグランプリに選ばれました。瀬戸内海産の海苔とクリームチーズを組み合わせた甘じょっぱい焼き菓子が、審査員の試食とプレゼンを経て総合1位となり、受賞品は2026年7月1日から中四国のJR主要駅16店舗で販売されます。

とにかく気になるのは、福山の店が「瀬戸内全体のお土産コンテスト」で頂点に立った点です。朝日新聞の報道、JR西日本グループのプレス、勉強堂の公式サイトが、2026年5月22日時点で確認できた範囲で一致している事実を軸に、審査の枠組みと商品の位置づけ、地元企業にとっての意味を追います。

第4回せとうちおみやげグランプリの報道写真。瀬戸内地域のお土産が競う審査会の様子を伝えるイメージ。
2026年5月14日、高松市で開かれた第4回せとうちおみやげグランプリ(朝日新聞掲載写真) [報道機関の公開記事に基づく引用] 出典:朝日新聞(報道写真) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

5月14日の本審査で何が決まったのか

主催はJR西日本グループとJR四国グループの関連3社です。第4回は四国エリアまで対象を広げた初の開催で、総応募は66事業者・107商品、一次審査を通過した14商品が本審査に進みました。会場では各社のプレゼンテーションと審査員による試食が行われ、グランプリ・準グランプリ・特別賞などが贈呈されました。

朝日新聞の報道によると、グランプリの「瀬戸内海苔(のり)のチーズパイ」は、瀬戸内海産の海苔をのせたパイ生地の中にクリームチーズが入った焼き菓子で、甘じょっぱい味わいが特徴とされています。代表取締役の門田治己氏は「社員のアイデアを採用し、瀬戸内海産の海苔を主役にチーズと組み合わせた。海苔の風味を味わってほしい」とコメントしています。

四国側からは、準グランプリに高知市・はりま家の「瀬戸内レ・モンブラン」、特別賞に高松市・ルーヴの「瀬戸内名産物語 旅色サブレ」、STU48賞に石丸製麺(高松市)の「Sanuki 初恋レモンうどん」が選ばれました。出品されたお土産の一部は、報道では2026年7月1日から中四国のJR主要駅にある土産店16店舗で販売されるとされています。

項目内容(2026年5月時点の公開情報)
イベント名地域を届ける。第4回せとうちおみやげグランプリ
本審査日時2026年5月14日(木)14時00分〜17時00分予定
会場JRホテルクレメント高松 3階「飛天(西)」
応募規模66事業者・107商品(本審査進出14商品)
グランプリ勉強堂(福山市)「瀬戸内海苔のチーズパイ」
駅販売開始(予定)2026年7月1日〜、16店舗(岡山・倉敷・福山・尾道・広島・新山口・徳山・高松・松山・高知・徳島など)

僕は最初、地方菓子のコンテストと聞いて「県内の物産展」と同じ温度感かと思っていました。ところが今回の主催はJRグループ横断で、対象エリアも備後・広島・山口から四国まで広がっています。福山の一社が頂点に立ったという事実は、単店の話題以上に「瀬戸内ブランドの流通網に載った」ニュースとして読む余地があります。

審査員には山陽新聞社・中国新聞社・四国新聞社のほか、ビザビやナイスタウンなどのメディア・広告関連企業、STU48の池田裕楽氏、JR西日本・JR四国・ジェイアールサービスネット岡山・広島、四国キヨスクなどが名を連ねています。洋菓子9・和菓子4・食品1という内訳からも、和洋折衷のお土産が混ざる土俵だと分かります。一次審査で107点から14点へ絞られた時点で、既に「駅で売れる説明力」が問われていると言ってよいでしょう。

「瀬戸内海苔のチーズパイ」はどんな商品か

勉強堂は1929年創業の和菓子専門店で、本店は福山市熊野町にあります。公式サイトでは、備後の風土が育む素材を使った和菓子づくりを掲げ、和菓子製造1級技能士が5名在籍する体制を紹介しています。定番には「むぎっこ栗っ子」や「本日鯛安」など、栗饅頭系を中心とした銘菓が知られています。

受賞商品は、和菓子の枠を超えた洋風の焼き菓子です。海苔の香りとチーズのコクを同時に取りにいく設計で、お土産として「珍しいが説明しやすい」タイプに当たります。門田氏のコメントどおり開発の起点は社内アイデアであり、代表が全国の菓子店を巡る趣味を公表している企業文化とも重なります。

勉強堂オンラインショップに掲載されたパイ系焼き菓子の商品写真。同店のパイ生地技術を示す参考画像(受賞品は瀬戸内海苔のチーズパイ)。
勉強堂のパイ系商品の一例(はっさくれもんパイ・公式オンラインショップ掲載) [公式公開情報] 出典:有限会社勉強堂(公式オンラインショップ) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

報道が伝える味の軸は「甘じょっぱさ」です。お土産審査では、パッケージの説得力だけでなく試食での記憶残りが効きます。海苔とチーズという組み合わせは、瀬戸内の食文化を短い言葉で説明しやすく、駅売りの棚でも一目で伝わる利点があると読む向きもあります。

勉強堂の製造現場では、年間約300種類の和菓子を工場長が統括するなど、量産体制と職人の両方を持つ構造が公式に紹介されています。今回の受賞品はそのラインから出た新作お土産であり、既存ファンが期待する栗饅頭とは別SKUとして置かれます。まあ、老舗が「守りの銘菓」と「攻めの駅土産」を分けて持つのは、地方菓子店ではよくある勝ちパターンですが、今回は攻め側が全国規模の審査で評価された点が新しいです。

知りませんでしたが、同社は田尻町のあんず農園を2013年から自社管理し、福山産あんずの加工比率が高い年もあると公式に説明しています。海苔とチーズはあんずとは別素材ですが、「瀬戸内の原料を自分ごと化して商品にする」姿勢は一貫しています。開発者側では、社員提案を代表が採用したという経緯が報道で強調されており、トップダウン一本ではない点も企業ニュースとして拾われやすい材料です。

コンテストの対象エリアが広がったことと、福山企業の意味

せとうちおみやげグランプリは、JR西日本の「ふるさとおこしプロジェクト」に連なる催しとして、これまで3回開催されてきました。第1・2回は岡山・備後エリアが中心で、第3回から広島県全域・山口県が加わり、グランプリには番田芋フロランタンなどが選ばれています。第4回はJR四国グループの協力で四国まで対象が拡大し、高松での本審査は「四国初開催」として報じられました。

この拡大は、福山の企業にとって二つの意味を持ちます。一つは、これまで備後・広島・山口の枠で培った受賞実績が、四国の審査員・メディア・旅行者にも同時に見える場になったことです。もう一つは、受賞後の販路が「福山駅の店だけ」に閉じず、岡山・高松・高知など広い駅ネットワークに乗ることです。JRグループのプレスでは、2026年7月1日から16店舗でのコーナー展開や認定マーク授与、卸先紹介、報道・SNSでの紹介が受賞特典として挙げられています。

福山市熊野町にある勉強堂本店周辺の外観写真。老舗和菓子店の立地を示す。
御菓子所 勉強堂本店(福山市熊野町・公式サイト掲載) [公式公開情報] 出典:有限会社勉強堂(公式サイト) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

企業側では、あんず農園の維持管理や養蜂、和菓子教室・社会見学など、原料と地域を結ぶ取り組みを長年続けています。グランプリ商品は洋風寄りですが、瀬戸内海産の海苔という地域素材を前面に出している点は、同社の「備後・瀬戸内の素材を語る」方針と矛盾しません。意外と効いているのは、和菓子の技術蓄積がある店が、お土産向けに洋風SKUを足すときの信頼感です。

福山市内の小売・観光の現場では、駅周辺と熊野・尾道方面で買い物動線が分かれがちです。さんすて店は新幹線利用者の最後の接点になりやすく、今回の駅16店舗展開は、本店エリア以外の客層を一気に引き込む設計です。担当する広報・販売の側では、7月の棚写真と価格表示が出た瞬間にSNS拡散が始まるタイプの話題なので、発表直後から素材を揃えておく価値が高い案件と言えます。

第3回グランプリの「番田芋フロランタン」と並べると、芋・海苔・柑橘など、土産として説明しやすい原料が続いている印象があります。今回の海苔チーズパイは、和菓子博覧会系の受賞歴がある企業が、駅向け洋風で勝った例としても読めます。さすがに、受賞直後に全店で同じ味が買えるかは販売計画次第ですが、認定マークとJRのPR枠が付く点は、個店のInstagram告知以上に露出幅が広いはずです。

勉強堂の歩みと、今回の受賞が示す商品力

勉強堂の沿革は、昭和4年の創業から製パン・洋菓子を経て昭和60年に和菓子専門へ戻った流れが軸です。全国菓子博覧会での受賞や天皇家への献上、福山さんすて店・広島ekie出店など、県内だけでなく広域の販路開拓も続いてきました。2024年3月に公開されたJR西日本「てみて」の特集では、門田治己代表が「時代に合う和菓子」と地域発信の両立について語っており、今回の海苔チーズパイは、その延長線上にある新作お土産として位置づけられます。

勉強堂代表取締役・門田治己氏の肖像。広島・山口の魅力発信サイト「てみて」掲載の公式写真。
代表取締役 門田治己氏(勉強堂・てみて掲載) [公式公開情報] 出典:JR西日本「てみて」(事業者紹介) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

僕自身は、福山の菓子店と聞くと駅前のさんすてや熊野本店のイメージが先に立ちます。今回の賞は、旅行客が駅で買う「最後の一枚」としての競争で勝った点が大きいです。店舗で長年育てた技術者集団が、社員発案の洋風お土産を仕上げ、瀬戸内規模の審査で評価された——この順序は、地元メディアが企業ニュースとして扱うときの説明軸にもなります。

門田代表は製菓学校や県内学校で臨時教員を務めるなど、外部への技術発信も続けています。グランプリ後は、教室参加者や見学者が「駅で見た商品の製造元」として本店を訪れる導線も想定できます。僕としては、福山の食品メーカーが全国ネットのお土産審査で頂点を取る事例は、製造業都市のブランディング資料としても転用しやすいと感じます。一次情報が揃うまでは断定を避けますが、少なくとも「瀬戸内の駅」という販路に載った事実は、地域経済ニュースとして十分に重いです。

2026年7月以降、どこで買えるか

販売開始は2026年7月1日が目安です。JR西日本グループの案内では、岡山駅・倉敷駅・福山駅・尾道駅・広島駅・新山口駅・徳山駅・高松駅・松山駅・高知駅・徳島駅など、計16店舗のおみやげ店舗での取り扱いが予定されています。福山駅隣接の商業施設には勉強堂さんすて店があり、本店は熊野町にありますが、受賞商品の駅展開は瀬戸内全域の旅行者に届く設計です。

販売に関する公開情報内容
販売開始(予定)2026年7月1日〜
販売店舗数16店舗(おみやげ街道等)
福山での関連拠点JR福山駅隣接「さんすて」勉強堂店、本店(熊野町)ほか

在庫や価格、個包装の有無は、販売開始前の段階では公開情報だけでは確定できません。購入を検討する場合は、販売開始後に勉強堂の公式オンラインショップ(https://shop-ben-kyou-dou.com/)や各店の案内を確認するのが確実です。

KSB瀬戸内海放送のニュースでも、高松での審査会と福山・勉強堂のグランプリが報じられており、テレビ視聴者にとっては「瀬戸内らしさが詰まったお土産」というフレームで紹介されています。読売新聞系の配信やYahoo!ニュースの一覧でも同趣旨の見出しが回っており、短期間で複数メディアに載った話題です。報道の食い違いは、現時点では商品名の表記(「瀬戸内海苔のチーズパイ」と「瀬戸内海苔(のり)のチーズパイ」)程度にとどまり、受賞主体と販売開始時期の説明はおおむね一致しています。

見出しの賞と、1〜2年先に観測できること

表層では「福山の老舗がグランプリを取った」という一行で十分伝わります。一方で本質は、JRが主導するお土産開発コンテストが四国まで拡大し、受賞品が中四国の駅網に載る流通イベントになった点にあります。第3回までの受賞者(番田芋フロランタンなど)と並べると、瀬戸内の駅土産は和菓子・洋菓子を問わず「地域素材+説明しやすいネーミング」で勝負する傾向が続いていると読む向きもあります。

今後1〜2年で観測できるのは、次のような動きです(推測を含みます)。受賞マーク付き商品が駅以外の百貨店・ふるさと納税・ECに展開するか。第5回以降の応募増加で、福山・尾道など備後の他社も四国審査に乗るか。そして、海苔×チーズ型のお土産が他県から追随され、差別化が味の細部や原料の産地証明に移るか。断定は避けつつ、7月の駅売り上げとメディア露出が最初の指標になるでしょう。

勉強堂のロゴマーク。御菓子所としてのブランド标识。
御菓子所 勉強堂ロゴ(公式サイト) [公式公開情報] 出典:有限会社勉強堂(公式サイト) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

福山市内の製造・小売の現場では、観光回復と駅商業の再編が同時進行しています。グランプリは一過性の表彰にとどまらず、7月以降の棚割りとリピート注文まで見ないと、地域経済への波及は測りにくいです。次に確認すべきは、福山駅での販売有無と、本店・オンラインでの一般販売の有無——公開が出次第、買い手もメディアも同じ地点を見ることになるでしょう。

ふるさとおこしプロジェクトの文脈では、お土産は「地域の顔」として設計されます。勉強堂の場合、和菓子職人の育成や環境保全(フォレスト基金など)といった非財務のストーリーも公式に積み上がっており、グランプリはその上に載った販売イベントです。他県の菓子店が追随するかどうかは未知数ですが、海苔×チーズというカテゴリが増えた場合、差別化は産地証明と味の安定性に移る——この種の論点では、老舗の品質管理経験が再び問われると思います。

僕が注目するのは、2026年7月の16店舗展開が終わったあと、卸先紹介(JRプレス記載の受賞特典)がどこまで広がるかです。駅以外の百貨店や地域ECに載れば、旅行シーズン外でも注文が続く可能性があります。現時点で言えるのは、5月14日の高松での勝利が、7月以降の「買える場所」の増加につながる設計だということだけです。それ以上の売上効果は、公開される販売データを待つしかありません。