引揚救助83秒59で中国地区1位——福山地区消防組合が8月22日、新潟の全国大会に3種目で挑む
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福山地区消防組合の隊員が、8月22日(土)に新潟市で開かれる第54回全国消防救助技術大会に出場します。7月22日(水)の第54回中国地区消防救助技術指導会で、1種目が中国地区代表、2種目が広島県代表に選ばれました。市公式サイトが7月28日に伝えています。
僕は結果の数字を見て、この競技の性質がようやく分かりました。1位と6位の差が2秒足らずなのです。訓練の精度がそのまま秒に出る世界で、彼らは全国の切符を取っています。

全国大会は8月22日、新潟市の烏屋野潟南西部臨時駐車場——陸上8種目のうち3種目に出場
全国大会は、日本全国から選び抜かれた隊員が一堂に会して消防救助技術を競う場です。陸上の部は8種目あり、福山地区消防組合はそのうち3種目に出場します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会名 | 第54回全国消防救助技術大会 |
| 実施日時 | 2026年8月22日(土)9時00分〜16時00分 |
| 実施場所 | 新潟県新潟市中央区鐘木257番地7(烏屋野潟南西部臨時駐車場) |
| 出場種目 | ロープ応用登はん、ロープブリッジ渡過、引揚救助 |
会場が「臨時駐車場」であることに、この競技の特殊性が表れています。15メートルの塔を立て、ロープを水平に張り、煙道を作る。専用施設ではなく、広い平地に仮設で競技場を組む形式です。

器具を使わず15メートルを登る12秒72——3種目それぞれの中身
出場する3種目は、評価の軸がそれぞれ違います。市公式サイトの説明を読むと、単なるタイム競技ではなく「安全確実性と所要時間」を両方見る採点になっています。
ロープ応用登はん(広島県第1位・12秒72) は、2人1組で登はん者が塔の2メートル前からスタートし、地上高15メートルの到達点まで登ります。器具は使わず、補助者の協力だけで登る。15メートルは建物の4〜5階に相当します。それを12秒台で、道具なしで。 ロープブリッジ渡過(広島県第1位・19秒97) は、水平に張った渡過ロープで往復40メートルを渡ります。往路はセーラー渡過、復路はモンキー渡過という別の姿勢で渡り分けます。 引揚救助(中国地区第1位・83秒59) は5人1組です。うち2人が空気呼吸器を着装して塔上から塔下に降り、検索して要救助者を「二人搬送」で救出し、残る2人と協力して塔上へ引き揚げ、脱出するまでを計ります。要救助者役も5人のうちに含まれます。いや、これを83秒59でやり切るというのが実感として掴めません。空気呼吸器はそれ自体が10キロ級の装備です。それを背負って降下し、人を担いで登る。中国地区で1位という結果は、5人の動作が噛み合った証拠です。

全国に届かなかった種目にも記録が残っている——19秒97と21秒59の差
市公式サイトは、代表になった3種目だけでなく、届かなかった種目の結果も並べて公表しています。ここが読みどころです。
はしご登はんは広島県第4位で15秒49。東消防署警防第1係の消防士長・西尾航生さんが出場しました。塔の5メートル前からスタートし、自己確保を行った後に垂直はしごを15メートル登る種目です。ほふく救出の部は広島県第3位で44秒44。3人1組のうち2人が空気呼吸器を着装し、確保ロープと小綱を両足首に結索して8メートルの煙道を検索、要救助者を屋外へ救出してゴール地点まで搬送します。
そしてロープブリッジ渡過には、もう一組が広島県第6位・21秒59で出場していました。1位が19秒97ですから、その差は1秒62です。まあ、これを「6位だった」と読むか「1秒台の勝負だった」と読むかで、見え方は変わります。僕は後者だと思います。
意外と重要なのは、市が届かなかった記録も同じページに載せている点です。代表になった隊員だけを見せる書き方にはしていない。組織として何人が挑んで、どこに壁があったかを開示する姿勢が、この公表の仕方に出ています。

この訓練が向いている先は競技ではない——「地域に寄り添った消防」という締め方
市公式サイトの結びには、こう書かれています。「出場した隊員は、全員素晴らしい訓練成果を発揮してくれました。これからも、地域の皆さんの安心・安全のために、日々、訓練を重ねて地域に寄り添った消防を目指します」。
競技の記録として読むと秒差の話ですが、この技術が使われる場面は火災現場や事故現場です。15メートルを器具なしで登る訓練、空気呼吸器で煙道を検索する訓練は、実際の救助でそのまま必要になる動作の分解です。大会は成果を測る物差しであって、目的はその手前にあります。
福山地区消防組合は福山市を含む地域を管轄しており、問合せ先は消防局警防課(084-928-1193)です。市は同じページから中国地区指導会の詳しい結果へのリンクも張っています。
表層は「大会出場の報告」、本質は「訓練量が可視化される数少ない機会」
僕がこの発表を読んで思ったのは、消防の日常業務は数字にならないということです。何件出動したかは統計に出ますが、その一件ごとにどれだけの技術が使われたかは表に出てきません。
救助技術大会は、そこに秒という単位を持ち込む場です。15メートルを12秒72で登れるという事実は、その隊員がどれだけの時間をロープに費やしたかの代理指標になります。僕は競技会というものに対して、記録を競うだけなら本業から離れるのではないかという疑いを持っていました。ただ、この3種目の中身を見ると、どれも現場動作をそのまま切り出したものです。ロープを登る、ロープを渡る、要救助者を引き上げる。競技のために作られた動きが一つもない。
もう一つ気づいたのは、全国に届かなかった種目の記録も市が公表していることです。19秒97と21秒59の差を隠さずに出している。ここに、大会を序列づけではなく訓練の記録として扱う姿勢が見えます。僕はこの見せ方のほうを評価したい。
追いかけるべき点
8月22日以降に追いかけるべきは、全国大会での3種目の記録です。中国地区や広島県の代表として臨む舞台で、12秒72や83秒59がどこまで縮むのか。結果は消防局のページで公表される見込みです。
