市立福山が広島商を4-3で下し甲子園初出場——21年ぶりの公立対決を六回の逆転で制す

スポーツ

第108回全国高校野球選手権広島大会の決勝が7月28日、広島市南区のマツダスタジアムで行われ、福山市立福山高校(市立福山)が広島商業高校を4-3で破って初優勝しました。85チームの頂点に立ち、春夏を通じて初めての甲子園出場を決めています。全国大会は8月5日、阪神甲子園球場で開幕します。

決勝が公立校同士の対戦になったのは、2005年の高陽東-三次以来21年ぶりでした。僕はこの一報をデイリースポーツとテレビ新広島の速報で続けて読んだのですが、正直に言うと「あの市立福山が」と一瞬手が止まりました。地元の公立校が、名門・広島商を相手に決勝で逆転する。備後の高校野球としては、そう何度も起きない種類の出来事です。

画像
初優勝を決めた市立福山ナイン [報道機関の公開記事に基づく引用] 出典:デイリースポーツ(Yahoo!ニュース掲載) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

六回に松井湧心の中前2点適時打——三回までの2点差を投手2人でしのいだ

画像
決勝の様子を伝える報道写真 [報道機関の公開記事に基づく引用] 出典:テレビ新広島(Yahoo!ニュース掲載) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

デイリースポーツによると、市立福山は三回までに2点を失いながら追加点を与えず、五回に1点を返します。逆転は六回、松井湧心捕手(3年)の中前2点適時打でした。七回には福島悠杏内野手(3年)の左越え適時三塁打で1点を加え、4-3としています。

投げては来山凌也投手(3年)と岩本大輝投手(2年)の継投。Full-Countの記事を突き合わせると、広島商側は先発の辻涼佑投手(2年)が五回3安打1失点と好投しながら、六回からの継投で先頭から3連打を浴びて逆転を許した、という展開でした。同じ試合でも、勝った側の記事は「粘って待った」、負けた側の記事は「継投が裏目に出た」と書きます。編集としては、この2本を並べて読むと、六回の3連打がどれだけ大きかったかが立体的に見えてきます。

岩本投手は六回からの登板で3イニング連続の三者凡退。九回に1点を返されてなお走者を出しながら、同点は許さなかった。僕はスコアだけ見て「打ち勝った試合」だと思っていたのですが、イニングを追うと投手戦に近い終盤でした。まあ、決勝の終盤で2年生投手にこの結果が出るというのは、来年以降にも効いてくる話です。

4月就任の小田浩監督「一番驚いているのは私です」——迫田守昭さんからの継承

画像
広島商-福山の決勝を伝える報道写真 [報道機関の公開記事に基づく引用] 出典:Full-Count(Yahoo!ニュース掲載) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

僕がまず確かめたのは監督の名前でした。市立福山を率いる小田浩監督は今年4月の就任です。デイリースポーツの取材に「一番驚いているのは私です。プラン通りの野球を選手はやってくれた。本当に選手のおかげ」と話し、甲子園での戦いについては「まったくノープラン、イメージも湧かなくて。選手からいい提案が出てくると思う」と語っています。

小田監督は西条農と総合技術で計3度、監督として甲子園に出場した経験があります。市立福山では、昨夏まで指導していた迫田守昭さんからバトンを受け継ぐ形でした。朝日新聞は迫田さんについて「過去に公立校を初の甲子園に導いた経験のある」指導者としてこの継承に触れています。

僕が面白いと思ったのは、就任からわずか4カ月弱で結果が出ている点です。短期間で選手の特長を把握してチームを作った、と報じられていますが、現場では前任者が積み上げた土台がないと、この速度は出ません。指導者が代わった年に一気に伸びるチームは、たいてい前の年までの蓄積を引き継いでいます。

「過去最高は16強」か「8強」か——報道で分かれる記述と、1975年創部という時間

画像
市立福山の公式サイト [公式サイトのスクリーンショット] 出典:福山市立福山中・高等学校 公式サイト ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

気になったのは、夏の過去最高成績の書き方が報道で割れていることです。朝日新聞は「福山の過去最高成績は16強」とし、デイリースポーツは「夏の過去最高成績は8強だった」と書いています。数え方の基準(春夏通算か夏のみか、県大会の到達段階の表記か)が違う可能性が高いのですが、現時点では確定的なことは言えません。

はっきりしているのは、デイリースポーツが伝える「1975年の創部以来、悲願の初優勝」という一点です。創部から51年目での県制覇。市立の高校としては、そのあいだずっと私学の強豪と同じ土俵で戦ってきたことになります。

編集としては、こうした記録の食い違いは、続報や学校側の公式発表で整理されていくのを待つのが安全だと考えています。さすがに、初出場の高揚のなかで数字だけ独り歩きさせたくない。観測できる次の一手は、8月5日開幕の甲子園に向けた組み合わせ抽選と、学校公式サイトでの記録の掲出です。

参照した主な情報

デイリースポーツ「福山が悲願の初優勝」(Yahoo!ニュース)テレビ新広島「【速報】市立福山が悲願の甲子園初出場」(Yahoo!ニュース)Full-Count「広島大会決勝で大番狂わせ…敗退の広島商ナイン号泣」(Yahoo!ニュース)福山市立福山中・高等学校 公式サイト