「お徳用ちりめん山椒」の檀上食品工業が破産——負債2億3700万円、5月の工場火災が決定打に

経済・ビジネス

佃煮製造の檀上食品工業(福山市)が、広島地方裁判所福山支部から破産手続きの開始決定を受けました。帝国データバンク広島支店の情報としてRCC中国放送が7月28日に伝えたもので、負債総額は約2億3700万円に上ります。

1977年設立の会社です。「お徳用ちりめん山椒」などの各種佃煮を製造し、調理加工から真空包装、パック詰めまですべて自社で対応して全国の卸売業者などに販売していました。僕は正直、社名を見てもすぐには商品が浮かびませんでした。でも「ちりめん山椒」と聞けば、備後のスーパーの棚を思い出す人は多いはずです。

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破産を伝える報道記事の掲載画像 [報道機関の公開記事に基づく引用] 出典:RCC中国放送(TBS NEWS DIG) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

2000年に約5億4800万円あった売上が、昨年は約1億6000万円に

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倒産情報のページ [公式サイトのスクリーンショット] 出典:帝国データバンク 公式サイト ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

帝国データバンク広島支店によると、同社の売り上げは2000年に約5億4800万円ありました。それが食生活の変化や他社との競争で減少し、昨年はおよそ1億6000万円まで落ち込んでいます。25年余りで3割以下という水準です。

佃煮という商品は、常温で日持ちし、少量で飯が進む。冷蔵庫と共働きが前提の食卓では、その強みがそのまま「毎日は要らないもの」に反転します。まあ、売上の落ち方だけを見て経営の巧拙を語るのは乱暴ですが、市場の縮小が長い時間をかけて効いていたのは間違いありません。

そこに原材料や光熱費の高騰が重なりました。自社で調理から包装まで抱える体制は、品質を握れる代わりに、電気とガスの値上がりを丸ごと受けます。編集としては、この会社の場合、垂直統合の強みがコスト高局面では弱みに変わった、という読み方ができると思っています。

今年5月の工場火災で設備更新が難しくなり、6月から事業停止

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倒産情報の一覧部分 [公式サイトのスクリーンショット] 出典:帝国データバンク 公式サイト ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

決定打になったのは、今年5月に工場で発生した火災でした。RCCは、冷蔵庫などの設備を更新することが難しくなり、後継者問題もあったことから、6月から事業を停止していたと伝えています。

食品工場にとって冷蔵設備は生産設備であると同時に、衛生管理の根幹です。火災で更新の見通しが立たないとなれば、操業を続ける判断自体が難しくなる。売上が5億円あった時期なら再投資できたかもしれない金額が、1億6000万円の規模では重すぎた、という順番です。

僕が気になったのは、後継者問題が並記されている点です。設備投資の判断は、その後何年その事業を続けるかという前提とセットです。継ぐ人が決まっていない状態で数千万円規模の更新を決めるのは、経営者として相当に難しい。

備後の中小食品メーカーに共通する三重苦——記録として残しておきたい

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プレスリリースのページ [公式サイトのスクリーンショット] 出典:帝国データバンク 公式サイト ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

売上の長期低落、原材料と光熱費の高騰、そして突発的な事故。この三つが重なったときに、後継者不在が最後の逃げ道を塞ぐ。檀上食品工業の経緯は、備後圏域の中小食品メーカーが抱える条件をきれいになぞっています。

僕がこの手のニュースで毎回思うのは、破産の報道は結果だけが短く流れて終わる、ということです。1977年から約50年、全国の卸に商品を出し続けた会社が、どこで踏みとどまれた可能性があったのか。そこは外からは分かりません。さすがに、後知恵で経営判断を採点するつもりはないです。

観測できる次の一手は、帝国データバンクが毎月公表している倒産集計です。広島県内の食品製造業でこの種の案件が続くのかどうかは、単月ではなく数カ月の推移で見るしかありません。

参照した主な情報

RCC中国放送「『ちりめん山椒』など製造の広島県福山市の佃煮メーカーが破産」帝国データバンク 倒産情報・プレスリリース