福山駅発の自動運転バスが9月6日から運行、レベル2で定員16名——2027年度のレベル4実装を見据えた前段
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福山市が、2026年9月6日(日曜日)から福山駅と大和建設まちテラスふくやまを結ぶ自動運転バスの路線バス運行を開始すると発表しました。掲載日は7月30日です。
運行するのは自動運転レベル2。市は「2027年度に自動運転レベル4の社会実装をめざし」と書いており、今回の運行はその前段です。
僕がこの発表で最初に確認したのは、レベルの表記でした。レベル2は運転支援です。ドライバーが乗り、ハンドルとブレーキの操作をシステムが助ける段階。
つまり9月6日に走り始めるバスには、運転手が乗っています。
レベル2とレベル4の間にあるもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運行開始 | 2026年9月6日(日曜日)〜 |
| ルート | 大和建設まちテラスふくやま⇔福山駅前(直行便) |
| 車両 | Minibus2.0(株式会社ティアフォー) |
| 定員 | 16名(運転席込み) |
| 最高速度 | 40km/h |
| 自動運転レベル | レベル2(2027年度にレベル4の社会実装をめざす) |
| 担当 | 福山市デジタル化推進課(084-928-1254) |
市はページ内で自動運転レベルの定義を5段階で説明しています。レベル2は「縦方向及び横方向の操作をシステムが運転支援(レベル1に加えて、車線変更等)」。レベル4は「一定の条件下でシステムがドライバーがいなくても全ての運転操作を実施」。
この2つの間には、レベル3があります。「一定の条件下でシステムが全ての運転操作を実施。ただし緊急時はドライバーによる手動運転に切り替えることができる」。
市は2027年度にレベル4を目指すと書いており、レベル3を挟むという記述はありません。運転支援から、無人運転へ一気に行く計画です。
いや、これは無理な飛躍ではありません。実際に国内で進んでいる自動運転バスの実装は、レベル2で実路線を走らせて走行データと運行ノウハウを蓄積し、そこから限定区域のレベル4に移る形が主流です。レベル3は乗用車向けの区分で、路線バスでは実質的に経由しません。
車両はティアフォーのMinibus2.0です。ティアフォーは名古屋大学発の企業で、オープンソースの自動運転OS「Autoware」を開発しています。国内の自治体実証で採用例が多い車両です。
定員16名(運転席込み)ということは、乗客は15名。最高速度40km/hなので、一般道の流れに乗って走ります。

表層は「自動運転バスの運行開始」、本質は「乗務員不足に間に合うかの競争」
市が書いた運行理由が、率直です。
「福山市は、公共交通の利用者の低迷や乗務員不足により、重要な社会基盤である公共交通の維持が困難な状況となっています」。
利用者が減り、運転手が足りない。この2つが同時に起きると、路線は減便され、減便すると使いにくくなってさらに利用者が減ります。
そこに新しい移動需要が生まれると市は書いています。「健康・スポーツ・レジャー・防災・交流・教育・福祉の多様な機能を持つ備後圏域の新たな交流拠点である『全世代交流型エリア』の整備が進んでおり、今後、福山駅と当該エリアを結ぶ新たな移動需要の発生が見込まれています」。
つまり需要は増える見込みだが、それを運ぶ運転手がいない。だから自動運転を使う。
僕がここで注目したのは、路線の選び方です。福山駅と大和建設まちテラスふくやまを結ぶ「直行便」。途中に停留所を置かない設定です。市が公開したルート図では、下りと上りで別の経路を通る形になっています。
直行便にすると、走行ルートが単純になります。自動運転で難しいのは、停留所での乗降と、そのたびの発進・停車です。乗客の乗り降りに合わせた微妙な位置合わせや、停車中の周囲の動きへの対応が必要になる。それを2箇所だけに絞れば、制御の難易度が下がります。
さすがに、これは実装を優先した設計でしょう。既存の路線を自動運転に置き換えるのではなく、自動運転に向いた新路線を作っている。
意外と、この順番が重要です。既存路線の置き換えから始めると、複雑な条件を最初から抱えます。新設路線から入れば、条件を選べます。
ラッピングデザインの説明が長い
市のページで文字数を最も使っているのが、車両デザインの説明です。
「コンセプト:その花は、未来をつないで走る」。そして「まちに咲いた想いがバスに映り、福山の風景の中を走っていきます。かつて復興の願いとして植えられ、まちの象徴となったばらは、いま福山を彩る新たなばら『キャンディーローズフクヤマ』として現代に咲き、これからの未来へと受け継がれていきます」。
福山市はばらのまちを名乗っています。1956年に戦災復興の願いを込めて市民がばらを植えたことが起点で、市の花はばら、市営のばら公園があり、ばら祭が毎年開かれます。
キャンディーローズフクヤマは、福山市が関わって生まれた新しい品種です。市が「新たなばら」と書いているので、既存のばらの象徴に上乗せする形の位置づけでしょう。
デザインの説明が続きます。「バスのラッピングデザインは、キャンディーローズフクヤマをモチーフに、ピースが無限につながっていくグラフィックとしました。一つひとつのピースの中にはキャンディーローズフクヤマの特徴的なピンク系の色を主に、生き生きとした葉の持つ鮮やかなグリーン系の色を組み合わせて、多様で彩りに満ちたまちの未来を表現しています」。
まあ、僕はこの分量に意図を読みます。技術の話だけで発表すると、市民には「実験のバスが走る」という受け取り方になります。デザインの説明を厚くすると、まちの風景の一部として見せられる。
そもそも自動運転バスに市民が乗るかどうかは、技術の完成度だけでは決まりません。見た目で乗りたくなるかどうかが効きます。


実証実験を2017年から積み重ねている
ページの下部に、過去の実証実験へのリンクが5本並んでいます。2017年度(平成29年度)、2018年度(平成30年度)、2021年度(令和3年度)、2024年度(令和6年度)、2025年度(令和7年度)。
僕はこの並びに、この発表の裏付けを見ました。2017年から断続的に実験を続けて、9年目に路線バスとしての運行に入ります。
2017年度と2018年度は「自動走行実証実験」、2021年度以降は「自動運転実証実験」と表記が変わっています。技術の呼び方が定着した時期の違いでしょう。
2019年度と2020年度、2022年度と2023年度が抜けています。予算が付かなかった年か、実験の総括に充てた年か。市のページからは読めません。
意外と重要なのは、この間に4回も実験を挟んでいる点です。1回の実験で終わらせず、車両や区間を変えながら続けた自治体は多くありません。
追いかけるべき点
僕が追いたいのは3つです。
ひとつめは、運賃と運行本数です。市の発表には運行開始日とルート、車両の仕様までしか書かれていません。路線バスとして運行するなら運賃と時刻表が必要ですが、7月30日時点では公表されていません。
ふたつめは、レベル4への移行条件です。2027年度に社会実装を目指すと書かれていますが、そこに至る判断基準は示されていません。走行距離、無介入率、事故ゼロといった指標のどれを満たせば移行するのか。
みっつめは、既存路線への波及です。福山市の課題は乗務員不足で、それは自動運転の新路線1本では解決しません。この路線で得た知見が、既存の路線バスにどう使われるか。
問合せは福山市デジタル化推進課(084-928-1254)です。
