中央斎場の建て替えは「誰が造り誰が運営するか」の検討へ——調査はパシフィックコンサルタンツが受託

社会

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福山市中央斎場の再整備をめぐり、PPP/PFI導入可能性調査業務の契約結果が公表されました。受託したのはパシフィックコンサルタンツ株式会社中国支社で、業務期間は2026年7月23日から2027年3月31日までです。市が7月28日付でページを更新しました。

僕はこの案件を見て、段階が一つ進んだのだと理解しました。基本計画(案)のパブリックコメントはすでに終わっています。建て替えるかどうかではなく、どういう事業方式で建て替えるかを詰める局面です。

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プロポーザル実施結果と契約内容を示した公表資料 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(プロポーザル実施結果及び契約の内容) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

契約の中身——広島市中区の建設コンサルが約8カ月で調査

契約の内容は次のとおりです。

項目内容
業務名福山市中央斎場再整備PPP/PFI導入可能性調査業務
契約業者パシフィックコンサルタンツ株式会社中国支社(広島市中区八丁堀16番11号)
業務履行期間2026年7月23日〜2027年3月31日
選定方式公募型プロポーザル
参加申込受付2026年6月4日(木)〜6月22日(月)17時

参加申込の受付期間は18日間でした。質問及び回答は6月18日に公表され、7月28日に契約結果が掲載されています。申込締切から契約まで約1カ月という進み方です。

パシフィックコンサルタンツは全国規模の建設コンサルタントで、公共施設のPPP/PFI導入検討を数多く手掛けてきた会社です。広島市中区の中国支社が窓口になります。まあ、この分野で名前を見ない会社ではありません。

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公募型プロポーザルの公告 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(公告) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

PPP/PFI導入可能性調査とは何を調べるのか

「導入可能性調査」という言葉は、そのまま読めば「導入できるかどうかを調べる」ということです。ただし実務では、もう少し具体的な内容を指します。

公共施設を整備するとき、従来方式は市が設計と工事を分けて発注し、完成後は市が運営します。PFIは、設計・建設・維持管理・運営を一括して民間に任せ、市は対価を分割で払う方式です。PPPはもっと広く、公民連携全般を指します。

調査で見るのは主に3点です。第一に、その施設をPFIでやると従来方式より安く済むのか。専門用語ではVFM(バリュー・フォー・マネー)と呼ばれる比較です。第二に、参入してくれる民間事業者がいるのか。第三に、どこまでのリスクを民間に移せるのか。

いや、斎場はここが難しい施設です。火葬という業務は代替が効かず、止められません。稼働率は人口動態でほぼ決まり、需要を伸ばす余地がない。民間が創意工夫で収益を伸ばす余白が小さい施設で、PFIの旨みがどこにあるのかを詰める必要があります。

一方で、火葬炉の維持管理は専門性が高く、長期一括契約にすると事業者側が計画的に更新できるという利点があります。さすがに8カ月かけて調べるだけの検討事項がある案件です。

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調査業務の仕様書 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(仕様書) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

基本計画(案)のパブコメはすでに終わっている

市はこのページから「福山市中央斎場再整備基本計画(案)に係るパブリックコメントの実施結果について」へのリンクを張っています。つまり、再整備の方向性については市民意見の聴取が一巡しています。

この順序は押さえておく価値があります。基本計画(案)で施設の規模や機能の方向を示し、市民意見を聞く。その次に、事業方式を検討する。方式が決まってから、事業者募集に進む。今回の調査は2段目の入口です。

意外と見落とされがちですが、事業方式の選択は市民の使い勝手にも影響します。運営を民間が担う場合、待合室の運用や付帯サービスの設計が変わり得ます。逆に、料金の設定は条例で決まるため、方式が変わっても直接には動きません。

斎場は市民の誰もが一度は使う施設です。それでいて、平時に関心を向ける人はほとんどいません。僕自身、この調査の公告が6月に出ていたことを7月の契約結果で初めて知りました。決まってから知る類の話になりやすい領域です。

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6月18日に公表されたプロポーザルへの質問と回答 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(質問及び回答) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

2027年3月末の調査結果が次の分岐点になる

業務履行期間は2027年3月31日までです。調査結果がまとまれば、市はPFIを含む民間活用で進めるか、従来方式で進めるかを判断します。ここで方向が決まると、事業者募集の枠組みと工期の見通しが具体化します。

市は更新履歴を丁寧に残しています。6月4日にプロポーザル実施の掲載、6月18日に質問及び回答の追加、7月28日に契約結果の追加。同じページを更新する形式なので、次の動きもこのページに追記される見込みです。

表層は「コンサル契約の締結」、本質は「斎場に民間手法を入れられるかの見極め」

僕がこの案件を追う理由は、対象が斎場だからです。

PPP/PFIは、体育館やプール、庁舎の建て替えでは定番になりました。運営に民間の工夫が入れば利用者が増え、収入も伸びる。効果が見えやすい施設です。ところが斎場はそうではありません。利用者を増やす施設ではないし、サービスを華やかにする性質のものでもない。むしろ止まらないこと、静かであること、誰でも同じ条件で使えることが価値です。

そこに民間活用を入れると何が起きるか。設計と建設を一括で任せれば、工期短縮とコスト圧縮は期待できます。ただ運営まで含めると、需要が読みにくいという難しさが出ます。火葬の件数は人口動態で決まるので事業者が努力しても伸びません。逆に高齢化で件数が増える局面では、稼働率が想定を超えて設備が足りなくなる。僕はここが、この調査で一番慎重に見られるべき点だと思っています。

だから今回の契約が「導入可能性調査」であって「PFI事業者募集」ではないことに意味があります。市はまだ手法を決めていません。約8カ月かけて、従来方式と比べてどれだけ得なのかを数字で出す。その結果として「従来方式のほうがよい」という答えが出ることも、選択肢として残っているわけです。

追いかけるべき点

追いかけるべきは、2027年3月末に出る調査結果の内容と、そこで示されるVFMの試算です。担当は市民生活課系の部署で、入札発注情報のカテゴリに掲載されています。

参照した主な情報

福山市「福山市中央斎場再整備PPP/PFI導入可能性調査業務に係る公募型プロポーザルの実施について」