福山市がプラごみの再商品化を自前ルートに切り替える——大臣認定の申請期限は2027年6月30日

環境・サステナビリティ

本サイトは自治体・公共施設の公式メディアではありません。この記事は独自取材ではなく、公開されている情報を参照して書いています。日時・料金・申込は一次情報でご確認ください。

福山市が、プラスチックごみの選別・再商品化業務の受注候補者を選定しました。7月9日に開かれた事業者評価委員会での決定を、7月24日付で公表しています。業務期間は2028年4月1日から2031年3月31日までの3年間です。

僕がこの案件で目を留めたのは、根拠法です。プラスチック資源循環法第33条に基づく主務大臣の認定を受けたうえで、市が事業者と直接組んで再商品化する。これは従来のやり方とは別のルートです。

画像
市と受注候補者が結ぶ協定書(案)の第1条から第4条 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(協定書(案)) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

プラ新法33条という選択肢——市が自分で再商品化計画を作る

市の説明はこうです。「事業者と連携してプラスチックごみに係る再商品化計画を作成し、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和3年法律第60号)第33条に基づく主務大臣の認定を受け、プラスチックごみを選別・再商品化することを予定しています」。

ここが要点です。従来、市町村が集めた容器包装プラスチックは、容器包装リサイクル法(平成7年法律第112号)の枠組みで指定法人に引き渡すのが基本形でした。市は集めて選別し、その先は制度が用意した経路に載せる。

プラ新法33条の認定ルートは、市が再商品化計画を自分で作り、大臣認定を受けて、選んだ事業者と直接再商品化まで進める仕組みです。いや、これは手間が増える選択です。計画を書き、審査を受け、事業者と協定を結ぶところから始まります。

なぜそれを選ぶのか。協定書(案)の第2条に、検討事項として「本市内にて発生するプラスチックごみについて、効率的かつ安定的な再商品化を実現するために大臣認定を受ける計画の作成等に関すること」と書かれています。効率と安定、この2語が理由です。

画像
プロポーザル実施要領の冒頭部分 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(実施要領) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

2028年4月の業務開始から逆算されたスケジュール

日付を並べると、この案件が長期の逆算で組まれていることが分かります。

時期内容
2026年6月1日プロポーザルの質問に対する回答を公表
2026年7月9日事業者評価委員会で受注候補者を選定
2027年6月30日市が大臣認定の申請を行う期限(協定書案)
2028年4月1日業務期間の開始
2031年3月31日業務期間の終了

協定書(案)の第2条2項に、この期限が明記されています。「甲は、大臣認定を受けるための再商品化計画を作成し、2027年(令和9年)6月30日までに申請する」。事業者選定から申請まで約1年、申請から業務開始まで約9カ月を見込んでいる計算です。

さすがに余裕のある日程には見えません。認定申請には再商品化計画の中身が必要で、その計画は選ばれた事業者の企画提案を踏まえて作られます。協定書(案)の第2条4項には「甲及び乙は、大臣認定を申請するまでに、企画提案書の内容を踏まえた本委託契約の仕様書を定める」とあり、さらに「大臣認定申請から大臣認定までの間に、国の指摘又は助言を受け、修正の必要が生じた場合は、これを反映する」と続きます。

つまり、国から差し戻される前提でスケジュールが組まれています。まあ、初めて通す枠組みですから、そうなるでしょう。

画像
業務の仕様書(案) [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(仕様書(案)) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

参加を申し込んだ事業者は全社が資格を満たした

参加資格の確認結果について、市は「要件を満たしているため、参加申込書の提出があったすべての事業者の参加を認めます」と公表しています。門前払いはなかったということです。

この分野は、選別設備と再商品化の出口を両方持っている事業者に限られます。参加した全社が資格を満たしたという結果は、応募してきたのがもともと実力のある事業者だったことを示しています。意外と、こういう分野は候補が絞られるものです。

評価は、書類だけでなくプレゼンテーションを行ったうえで提案内容を見る方式でした。市は「選別や再商品化に関する専門的な知識・経験等を有する業者から、創意工夫のある企画提案を広く公募し」と書いています。価格競争ではなく、何をどう再商品化するかという中身で選んだ形です。

画像
2026年6月1日に公表された質問への回答 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(質問に対する回答) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

リスク分担も協定に書き込まれている

協定書(案)の第4条は責務の条文です。「乙の行為に起因して第三者との間でトラブルが発生した場合は、乙の責任のもと誠意をもって問題解決を図るものとし、甲は一切の責任を負わない」とあります。事業者側にリスクを寄せる書き方です。

一方で第3条には「甲及び乙は、前条の協定の内容に関し、相互に協議及び報告を行う」と定められています。丸投げではなく、計画づくりの段階から市が関与し続ける構造です。第2条3項では「乙は、本業務を開始できるよう、乙がプロポーザルにおいて提出した企画提案書の内容及び関係法令等に従って、必要な準備を行う」とされています。

僕が読んだ限り、この協定は「本契約の前に結ぶ準備の約束」です。第2条5項に「甲が大臣認定を受け、乙が業務を履行開始するために必要となる許認可や使用前検査等を受けた後、本委託契約を締結する」とあり、認定が取れなければ委託契約に進まない設計になっています。

表層は「事業者が決まった」、本質は「市がリサイクルの当事者になる選択」

僕がこの案件で一番重いと感じるのは、事業者選定ではなく33条ルートを選んだこと自体です。

従来の容器包装リサイクル法のルートなら、市は集めて分別して指定法人に渡すところまでで役割が終わります。再商品化の中身は指定法人と再商品化事業者の間の話で、市は関与しません。ところが33条の大臣認定を取る道を選ぶと、市が自分で再商品化計画を作り、国に申請し、認定を受ける主体になります。計画の内容に責任を持つ立場に移るということです。

なぜそこまでするのか。理由は費用と、集められる範囲の広さでしょう。容リ法ルートは対象が容器包装に限られますが、33条の枠組みならプラスチック製品そのものも一括で回収して再商品化に回せます。市民が「これは容器か製品か」と迷う分別を減らせる。僕はここに、現場の実感を優先した判断を見ています。

同時に、僕が引っかかるのはリスクの位置です。認定が取れなければ委託契約に進まない設計は市を守りますが、認定に手間取れば2028年4月の開始そのものが遅れます。2027年6月30日という申請期限から逆算すると、計画づくりに使える時間は1年もない。事業者と市が本当に協議を重ねられるかが、ここでの分かれ目になります。

追いかけるべき点

追いかけるべきは、2027年6月30日の申請までに再商品化計画がまとまるか、そして国の審査でどこに指摘が入るかです。市民の側から見れば、2028年4月以降にプラごみの分別ルールが変わるかどうかが、いちばん実感に近い論点になります。

参照した主な情報

福山市「福山市プラスチックごみ選別・再商品化業務に係るプロポーザルの実施について」