ネウボラセンター1周年で百貨店7階を6日間貸し切り、入場無料——山之内すずさんのトークショーはラジオ公開収録も
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福山市が、ネウボラセンターの開設1周年を記念したイベントを2026年8月18日(火曜日)から8月23日(日曜日)まで開催します。会場は天満屋福山店7階の大催場、時間は10時から18時、入場料は無料です。
ネウボラセンターは2025年9月に天満屋福山店8階にオープンした子育て支援拠点です。そして2026年4月には、同じ天満屋福山店の7階にユースセンター「ふらっと」がオープンしました。
僕がこの記念事業で目を留めたのは、対象年齢の幅でした。デジタル映像で遊ぶ乳幼児向けの企画と、10代向けのトークショーが、同じ6日間に並んでいます。
5つのデジタル企画と2つの予約制ワークショップ
| 企画 | 内容 | 予約 |
|---|---|---|
| デジタル・アニマル・サファリ | デジタル映像のサファリパーク。サバンナ・草原・水たまりの各エリア | 不要 |
| おえかきパラダイス | 子どもが色を塗った動物がデジタル映像の中で動く | 不要 |
| ペイントすなば | 床の砂に映像を投影し、砂の形で模様が変化 | 不要 |
| デジタル・フォトスポット | 動物と一緒に記念撮影 | 不要 |
| mako×bios お絵かきワークショップ(珪藻土絵付け) | 8月18日〜21日。全8枠、各回先着10組。材料代1,800円 | 要(8月1日から) |
| 木育キャラバン 移動型おもちゃ美術館 | 8月22日・23日。全4枠、各回先着30組 | 要(8月1日から) |
| スタンプラリー | 天満屋福山店7階・8階にかけて実施。全て集めると景品 | 不要 |
デジタル系の企画が4つ並んでいます。市の説明はこうです。「デジタル映像によるサファリパークが出現!不思議なデジタルの世界で、かわいい動物たちとふれあい、楽しく遊ぼう!サバンナエリアではゾウやキリンが歩き回り、草原エリアではかわいいシカやうさぎと触れ合えるよ」。
いや、僕がこれを見て思ったのは、会場の制約です。百貨店の催事場は天井が低く、面積も限られます。動物を連れてくることはできません。そこで映像投影を使う。
ペイントすなばの説明が具体的です。「床に敷いた砂に映像を投影し、砂の形に合わせてさまざまな模様や映像が変化するよ」。プロジェクションマッピングと深度センサーを組み合わせた仕掛けでしょう。砂場を持ち込むだけなら砂の運搬で済みますが、映像を重ねると体験の質が変わります。
さすがに、この手のデジタル体験は費用がかかります。5日間から6日間の催事に映像設備を入れる判断は、1周年という節目だからでしょう。
一方、予約制の2企画は手を動かす体験です。珪藻土の絵付けは材料代1,800円かかり、各回先着10組。木育キャラバンは木のおもちゃで遊ぶ企画で、各回先着30組。
意外と、この配分が現実的です。無料のデジタル企画で人を集め、予約制の企画で密度の高い体験を出す。

表層は「1周年イベント」、本質は「百貨店の階層に世代を配置していること」
天満屋福山店という建物の使われ方に、僕はこの事業の狙いを見ました。
8階にネウボラセンター(2025年9月オープン)。7階にユースセンター「ふらっと」(2026年4月オープン)。そして7階の大催場で1周年イベント。スタンプラリーは7階と8階にかけて実施。
つまり市は、百貨店の上層2フロアを子育て世代と若者世代の拠点にしています。
そもそも地方都市の百貨店は、売り場面積を維持できなくなっています。上層階の売り場を縮小し、そこに公共施設や医療機関が入る例は全国で増えました。福山市の場合、その空いた床に子育て支援と若者支援を入れた形です。
僕が評価したいのは、この配置が使う側の動線に合っている点です。子育て世代は買い物のついでに寄れます。中高生は放課後に駅前で降りて上がれます。市役所の別館に作ったら、どちらも来ません。
福山駅前という立地の意味も大きい。天満屋福山店は福山駅から歩ける範囲にあり、鉄道とバスの結節点に近いです。市域が広い福山市で、公共交通で行ける場所に拠点を置くのは合理的です。
まあ、百貨店側にとっても、人が上階まで上がる理由ができます。相互に利があるでしょう。
若者応援トークショーにラジオの公開収録を重ねている
もうひとつの柱が「若者応援トークショー」です。
市の説明はこうです。「学校生活や進路、人間関係、自分らしさなどの悩みや不安から少しでも前向きになれるきっかけとなるようトークショーを開催します」。
メインゲストは山之内すずさん。市の紹介文が具体的です。「SNS総フォロワー数 110万人。若者層で絶大な人気と知名度を誇り10代を代表する『ティーンのカリスマ』と称される。ただ、10代の頃は家庭環境に悩み、学校やバイトに行けない時期を経験している」。
僕はこの3文目を、選定理由だと読みました。知名度だけならほかにも候補はいます。10代のときに学校に行けない時期があったという経験が、この企画の趣旨と噛み合っています。
MCは大窪シゲキさん。広島FMの中高生向け番組「大窪シゲキの9ジラジ」のパーソナリティです。そして「当日は広島FMの中高生応援番組『大窪シゲキの9ジラジ』の公開収録を行い、後日番組内で当日の様子が放送されます」。
つまりイベントが放送素材になります。会場に来た数百人だけでなく、番組の聴取者にも届く。
意外と、これは費用対効果の高い組み方です。市が独自に広報を打つより、既存の中高生向け番組の枠に乗るほうが対象に届きます。ラジオ局側は現場の収録素材が得られる。


「ネウボラ」という言葉
ネウボラはフィンランド語で「相談の場」を意味します。フィンランドでは妊娠期から就学前まで、同じ担当者が家族を継続的に支援する仕組みとして定着しています。
福山市は2016年頃から「福山ネウボラ」を掲げており、2025年9月の天満屋福山店8階へのセンター開設は、その集約です。
僕がこの流れで気にするのは、1周年という節目の使い方です。開設して1年は、まだ利用が定着したとは言えない時期です。そこで大規模な催事を打つのは、認知を広げる目的でしょう。
デジタル映像の企画に予約が不要なのも、そのためです。予約制にすると、すでに情報を持っている人だけが来ます。当日ふらっと入れる形にすれば、買い物客が偶然に立ち寄る。
追いかけるべき点
僕が追いたいのは3つです。
ひとつめは、予約制企画の埋まり方です。予約フォームは8月1日開設で、mako×biosワークショップは各回先着10組×8枠で80組、木育キャラバンは各回先着30組×4枠で120組。合計200組の枠がどれだけ早く埋まるか。
ふたつめは、トークショーの会場定員です。市のページには出演者と趣旨は書かれていますが、定員と申込方法の記載が7月30日時点では確認できません。ラジオの公開収録を伴うので、観覧に制限がある可能性があります。
みっつめは、この6日間の来場が日常の利用につながるかです。催事に来た人がネウボラセンターやユースセンターを継続して使うかどうかが、1周年事業の実質的な成果になります。
チラシがPDF(832KB)で公開されています。会場は天満屋福山店7階 大催場(福山市元町1-1)です。
