家庭向け太陽光・蓄電池補助は蓄電池部分が予算の9割超、事業者向け省エネ設備は抽選で決着——同じ制度で結果が分かれた

環境・サステナビリティ

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家庭向け補助金の公開資料の紙面 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(家庭向け創エネ・蓄エネ設備導入補助金 交付要綱・チラシ) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

福山市が、2026年度の創エネ・蓄エネ設備導入補助金について、家庭向けと事業者向けの両方でQ&A集を更新しました。更新日は7月28日です。

僕がこの2つのページを並べて読んで気づいたのは、同じ趣旨の補助金なのに、進み方がまったく違っていることでした。

事業者向けの「省エネ設備」は6月20日で受付が終了し、その日の申請分は抽選になりました。一方、事業者向けの「太陽光発電設備・蓄電池」は「現在、十分な予算枠があります」と書かれています。

そして家庭向けは、7月24日時点で申請合計額が予算の8割超、蓄電池部分だけで9割超。

3つの枠で消化速度が違う

区分対象7月末時点の状況
事業者向け・省エネ設備事業者6月20日で受付終了。同日分は7月6日に抽選を実施
事業者向け・太陽光発電設備/蓄電池事業者「十分な予算枠があります」として積極的な申請を呼びかけ
家庭向け・太陽光/蓄電池市民等申請合計額が予算の8割超。蓄電池部分は9割超

家庭向けの申請期間は2026年6月1日から2027年1月8日までです。7月24日時点で8割まで来ているので、このペースだと年内には上限に達します。

市の書き方が具体的です。「太陽光・蓄電池どちらも予算上限に近づいていますので、申請をご検討中の方は、お早めにご申請ください」「蓄電池部分の申請額については、予算の9割を超える申請状況です」「※蓄電池部分の申請が先に予算の上限に達し次第、太陽光のみの受付となります」。

いや、この3行目が実務上は重要です。太陽光と蓄電池が別枠で管理されており、蓄電池が先に埋まると、蓄電池だけの補助は受けられなくなる。

そして注意事項に「蓄電池を補助対象の太陽光発電設備と同時に設置せず、単独設置した場合」は交付対象外と書かれています。つまり蓄電池単独では申請できません。太陽光とセットが条件です。

さすがに、蓄電池の枠が先に埋まるのは分かる話です。太陽光だけを付ける人と、太陽光+蓄電池を付ける人がいて、後者は両方の枠を使います。蓄電池の予算配分が太陽光より小さければ、先に尽きます。

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事業者向け補助金の公開資料の紙面 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(事業者向け創エネ・蓄エネ・省エネ設備導入等補助金 公開資料) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

表層は「補助金の進捗報告」、本質は「先着順が破綻したときの処理を公開したこと」

事業者向けの省エネ設備で起きたことを、僕は評価します。

経過はこうです。6月17日集計時点で予算の7割を超え、6月19日に「受付終了間近」と告知。6月22日に「6月19日から21日のいずれかの日をもって予算の範囲を超えた可能性があります」と発表。6月26日に、6月20日付の申請を抽選対象とし、6月21日以降は受付対象外と確定。7月6日11時に市役所本庁舎8階北側多目的室1で抽選を実施し、結果を公表。

つまり、先着順で処理していたら同日に予算超過が起きたので、その日の分は抽選にした。

市はこの理由も書いています。「※同一日付の電子申請及び同一日消印の郵送申請をもって予算の範囲を超えた日を判断するため、数日さかのぼって抽選対象となる日・抽選対象外となる日が決まる可能性があります」。

電子申請は日時が秒単位で記録されますが、郵送申請は消印の日付しか分かりません。両方を受け付ける制度では、同一日の中で順位を付けられない。だから日単位で扱い、超過した日は抽選にする。

意外と、この設計は誠実です。電子申請だけ時刻順で並べれば、郵送申請者が不利になります。日単位に揃えると、その日に集まった申請は運で決まる。

抽選の透明性にも配慮があります。「希望する申請者等は、抽選を見学することができます。なお、見学の有無が抽選結果に影響することはありません」。見学可、かつ見学しても有利にならないと明記しています。

まあ、後半の一文は書かなくても当然のことですが、書いておかないと問い合わせが来るのでしょう。

そして抽選結果のPDFに添えられた注記が重要です。「※この抽選は受付の順番を決めるものであり、交付決定を約束するものではありません」。抽選で当たっても、審査で落ちる可能性は残ります。

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家庭向け補助金の様式・必要書類関連の紙面 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(家庭向け補助金 公開資料) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

FIT・FIPが使えないという条件

両方の補助金に共通する注意事項のなかで、僕が最も注目したのがこれです。

「固定価格買取制度(FIT)又はFIP(Feed in Premium)制度の認定を取得した場合(FIT・FIPは不可です!! )」。感嘆符が2つ付いています。

FITは、太陽光で発電した電気を電力会社が一定価格で買い取る制度です。太陽光発電といえばFITで売電するもの、という理解が一般には広く残っています。

その認定を取ると、この補助金は使えません。補助金交付後に判明した場合は返還を求められます。

つまりこの補助金は、売電するための太陽光には出さない。自家消費するための太陽光に出す制度です。

家庭向けページの目次に「(4) 自家消費実績の報告」という項目があるのが、その裏付けです。設置後に、実際どれだけ自家消費したかを報告させます。

そもそもFITの買取価格は年々下がっており、売電で投資回収する前提は成り立ちにくくなっています。国と自治体の補助は、発電した電気をその場で使う方向に切り替わっています。電気代が上がっている局面では、自家消費のほうが経済的にも合う。

僕がここで気にするのは、市民側の理解です。太陽光の営業では今もFITの話が出ます。補助金を使うつもりで契約して、後からFIT認定を取ってしまうと返還になります。感嘆符2つは、そういう事故を防ぐためでしょう。

もうひとつ厳しい条件があります。「国から市への交付決定(2026年5月8日)よりも前に補助対象設備の設置等に関する契約をした場合」「市から申請者への交付決定よりも前に着工した場合」は対象外。

交付決定前の契約も着工も認めない。設備を先に付けてから申請する形は使えません。

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事業者向け補助金の要綱・様式関連の紙面 [自治体の公式公開情報] 出典:福山市公式サイト(事業者向け補助金 公開資料) ※著作権は原権利者に帰属します。出典表示は許諾に代わるものではありません。掲載に関するご指摘がございましたら、お問い合わせいただければ確認のうえ削除・訂正に対応します。

追いかけるべき点

僕が追いたいのは3つです。

ひとつめは、家庭向けの受付終了時期です。7月24日時点で8割、蓄電池は9割。8月中に蓄電池枠が尽きる可能性があります。申請期間は2027年1月8日までですが、予算の範囲内という条件が優先します。

ふたつめは、事業者向けの太陽光・蓄電池枠が埋まるかです。市が「積極的な申請をお願いします」と呼びかけている状態です。省エネ設備は予算超過したのに、太陽光・蓄電池は余っている。事業者にとって、省エネ設備の導入のほうが判断しやすいということでしょう。

みっつめは、来年度の予算配分です。同じ制度で枠ごとに消化速度が大きく違ったので、配分の見直しが検討される可能性があります。

補助対象や金額の詳細は要綱とQ&A集で公開されています。申請は福山市電子申請システムまたは郵送で、市役所への直接持ち込みは不可とされています。

参照した主な情報

福山市「2026年度(令和8年度)家庭向け創エネ・蓄エネ設備導入補助金交付事業について」福山市「2026年度(令和8年度)事業者向け創エネ・蓄エネ・省エネ設備導入等補助金交付事業について」